比べようのないもの同士を、ついつい比べてしまうこと

僕達ってついつい、いろんなものを比べてしまいますよね。本来比べようのないものまで同じ土俵に上げて比べてしまうことってよくあります。
例えば、「あの映画よりこの映画の方が優れてる」とか「ラーメン屋Aより、ラーメン屋Bの方が美味いのでBの方が上」などなど。でも例えば映画ならジャンルも違えば、向けている客層なんかも作品によって違うわけです。だからティーン向け恋愛ドラマと、大人向けシリアスドラマは比べようがないはず。違う意図で違う客層に向けて作られたものだから。でも「ティーン向け恋愛ドラマが下で、大人向けシリアスドラマが上」みたいにどうしてもなりがちだったりする。
ラーメン屋でも味はそこそこだけど安い店と、本格的な味だけど値段は高い店は、食べる用途というか、満たす欲求が違うはずなのに、ラーメン屋というくくりで味だけを比べて優劣や上下をつけてしまったりします。
で、やっぱりそういうのってよくないよなぁと、朝井リョウさんの「スター」を読んで気づかされました。
あらすじ
スターという小説は、「桐島、部活やめるってよ」や「何者」なんかで有名な朝井リョウさんの2020年の作品です。
大学時代に共同監督として撮った映画で、グランプリを受賞した2人の若者が主人公。一人は映画に詳しく理論派の尚吾。もう一人はただかっこいい映像が撮りたい感覚派の紘。大学を卒業し、尊敬する有名監督の下で働きながら自分の作品を出そうする尚吾。かっこいい映像が撮れれば発表する場所はどこでもいいと、ボクシングジムのyoutubeチャンネルを手伝う紘、というふうに進む道が分かれます。
尚吾は最高峰の現場にいるものの、クオリティの高いものを出さないといけないという思いからなかなか自分の作品を出せずに悩みます。紘はyoutubeのスピード感をうまく乗りこなし、100%満足できるクオリティではないものの、作品を発表し、世間から注目されていきます。尚吾は紘の作品を心のどこかで低レベルだと思いながらも、先に世に出た紘に嫉妬していきます。一方世間に評価された紘も、クオリティよりも再生数やバズることばかり考えている、ボクシングジムやその後に入った映像制作会社の社長の考え方に違和感を覚え始めて。。。
という感じであらすじ説明が超長くなってしまった笑
比べることができないものを比べようとしてしまう
物語の後半に尚吾の彼女である千紗が「私達は比べることができないもの同士を比べようとしている。自分が作っているものの方が質も価値も高く、その分野で最高峰だと思っていても、それで全ての人の欲求を満たせる訳じゃない。」「欲求に上下とかなくてただいろんな種類があるだけ」みたいなことを言うんだけど、まさに自分もそういう考えに囚われていたなぁと。
今みたいに趣味趣向が細分化された世界では、自分が作ったものが最高だと思っていても、それを喜んでくれる人はあくまでそれが好きな人だけであって、それを求めてない人は、自分が対したことないと思ってるものをこそ欲しがったりする みたいなことが普通なのです。
しかもそれはその時の気分によってコロコロ変わったりもする。自分の経験でいうと、プロの芸人さんのラジオを聞きたいときもあれば、一般人のなんでもないpodcastを聞きたい気分のときだってある。笑いのレベルでは前者が上でも、今日は笑いのない普通の話が聞きたい、みたいなことって全然あります。
だからどっちが上でどっちが下ということではもうない。それを比べることには意味がない。本格的なラーメンが食べたいときもあれば、逆にチープなカップラーメンを食べたいときだってある。そういうことなんだなぁと(とはいえ、感情としてどうしても比べてしまうことは今後もあると思うけど)。
そういう世界の方が優しい世界だったりもする
主人公2人の大学時代の後輩が出てくるんですが、彼は映画監督の才能がないと気づきます。だから自分の得意なコミュニケーション能力を活かしてコミュニティの運営を始めます。それで自分の好きな映画業界をもっと盛り上げようとする場面があります。
今までなら映画監督になることが上のはずだったけど、彼のようにそっちの才能がなくてもコミュニティの中では彼を慕う人達がたくさんいて、彼の書いたコラムを読んで喜んでる人たちがいっぱいいる。その場所では彼のやってることには価値があり、映画界を盛り上げることができる。だから彼は今の世界の方が優しいと言います。これも分かる気がします。
全てのものにはそれぞれ役割があるだけなのかも
どんなものにも役割があって、無理にいろんなものを比べることはしないようにするのがいいなーと。自分が好きじゃなくても、それを好きな人がいて、その人を喜ばせるためにそれがあるわけで、あくまでそれぞれ役割があるだけなのかもなぁとぼんやり思いました。
うまく言葉にできないけど、なんとなく感じたことを忘れてしまわないよう、とりとめもなく書いてみました。「スター」を読んで自分が感じたことを記録する意味でしたが、まとまりのない文章を最後まで読んでくれてありがとうございました!












コメントを残す